HOME » 生命保険 » 定年退職後の生命保険はどうする?見直しをするべきか?
長年勤めた会社を定年退職するとなると、ライフスタイルが大きく変わる人が多いのではないでしょうか。趣味や娯楽に費やす時間が増える一方、多くの人は収入が減り、また健康に対する不安も増えていくことでしょう。そのような中で、今まで加入してきた保険の保障で充分なのか、また、これからどんなリスクに備えるべきなのか、説明していきたいと思います。
定年退職後は、周囲の状況はどのようになると予想できるでしょうか。
例えば子供が独立しているなら、今まで子供に遺そうと考えていた死亡保障額は見直しの対象となります。もし子供が経済的に不安定でも、いずれは経済的にも精神的にも独立しなければならないわけですから、現役時代に掛けていた死亡保障額からの減額を検討してみるといいかもしれません。
逆に定年退職後に不安な点は何でしょうか。定年退職後は、健康面と経済面での不安が増えてきます。逆に言えば、今後は健康面と経済面で何らかの対策が必要となってくるといえるのです。
まず健康面についてですが、年齢を重ねるごとに病気にかかるリスクは増えていきます。また、ガンや生活習慣病、介護といった不安も出てくることでしょう。定年退職後は、自身のライフプランに合わせ医療保険の充実を検討してみるといいでしょう。
また経済面についてですが、収入が減る可能性が高いので無駄な出費は避けたいところです。保険についても、無駄な保証は省き、節約できるところは節約したい。では、どんなところにポイントを置けばよいでしょうか。
1.誰にいくら残したいのかを考える
定年退職後に子供が独立していると考えると、本当に必要な保証は主に「自分の葬儀代」と「配偶者の生活資金」であるといえます。
日本消費者協会の調査によると、全国の葬儀費用は平均で約200万円となっています。葬儀のスタイルによっては数十万円で済むような葬儀もあれば、1,000万円近くまでかかる葬儀もあるようですが、平均額を目安としてイメージしてみるといいでしょう。
「配偶者の生活資金」については、公益財団法人生命保険文化センターによると、60歳以上単身無職世帯の1カ月の支出は約14万円となっています。これを1つの目安にするといいでしょう。
例えば、これに基づいて単身無職者85歳までの生活費を計算すると、
14万円×12ヶ月×25年=4,200万円となります。
実際は年金受給等の収入もあるので一概には言えませんが、自身に万が一のことがあったとき、一人で生活して行くにはどれくらいお金がかかるか把握し、それを補完できるだけの保険金は残したいものです。
2.相続対策としての生命保険
生命保険の死亡保険金の受取には、相続税の非課税枠があり、これを利用することによって税制上のメリットを享受できます。その非課税枠は「500万円×法廷相続人の数」分だけあり、例えば法定相続人が4人の場合は、死亡保険金が2,000万円まで非課税となります。
平成27年の税制改正で基礎控除額が縮小され、相続税の課税対象者が増えつつあるので、この非課税枠も生命保険加入の参考にするといいでしょう。
1.公的な健康保険もある
国民皆保険制度により日本国民は皆、何らかの公的医療保険に加入することとなっています。会社員が定年退職するとき、今まで加入していた社会保険からは外れることとなりまずが、以下の選択肢で公的医療保険に加入することとなります。
(1)退職前の会社の社会保険任意継続
退職前の会社の社保の任意継続を行うには、退職後20日以内に自身で手続きをする必要があります。任意継続を行うと、退職前の会社の社会保険を2年間継続できます。ただし、保険料については現役時代では会社と折半であったものが、退職後は全部自分で負担することとなるので、一般的には負担が増えてしまうので注意が必要です。
どの程度変わるかは、会社の健康保険組合などに問い合わせると計算してもらえますので、チェックしておくとよいでしょう。
(2)国民健康保険に加入する
国民年金保険への加入をする場合、退職の翌日から14日以内にお住いの市区町村で手続きを行う必要があります。ただし国民健康保険の保険料は前年度の年収で計算されるので、退職後に収入が急激に減少する場合は費用負担が大きくなってしまうので、注意が必要になります。保険料負担は数十万円単位で違うケースもあるので、退職後はまず任意継続を行うケースが多いです。
(3)同一生計家族の被扶養者となる
同一生計家族で、例えば妻や子供が社保に加入している場合ならば、被扶養者となることができます。この場合、保険料負担がないので選択肢としてはお得なのですが、注意点があります。それは、扶養に入る条件です。60歳以上の場合は年収180万円未満でなければ、扶養に入ることができません。また、失業手当を受給している人も、基本的には扶養に入れません。
2.保障内容について確認を
定年退職後は、健康に対するリスクが増えていきます。まずは今まで加入している医療保険または医療保障の内容を確認してみてください。
今まで入っていた保険期間はいつまでか、三大疾病や先進医療には対応しているのか等々、自分の現在の保障内容と、けがや病気への不安を天秤に掛けてみて、不安が残るようなら医療保険への加入を検討するといいでしょう。
また、定期保険付終身保険などに加入されてた人は、医療保障が60歳までしか保障されないこともありますので注意してください。
3.医療保険に新たに加入すべきか
定年退職後、新たな医療保険に加入すべきかどうかは様々意見があります。
ここでは新しく医療保険に加入するメリットデメリットを挙げていきたいと思います。
(1)メリット
・病気やケガになったときでも、経済的な安心が得られる
・家族にかかる経済的、精神的負担や不安が軽減される
・先進医療特約などをつければ、高額な医療費にも対応できる
(2)デメリット
・現役時代に加入するときより、保険料が高額
(50歳で加入するときより、保険料が2倍近くすることもある)
・高齢者医療制度で十分保障されている
(70歳以上の高齢者の医療費自己負担額は原則1割)
今回は「定年退職後の生命保険は見直しを行うべきか」というテーマでしたが、結論としては、新しく加入するかどうかに関わらずに是非見直しを行うべきです。どの点をポイントに見直すべきかを述べてきましたが、自分の保障内容は充分かどうか個別に相談したいときは、最寄りの保険プラザ等を訪問するといいでしょう。「自分はこの保険に入っているのだけど、退職後に必要な保障は充分か聞きたい」と言うと担当者は喜んで教えてくれます。その際に多少のセールスはされるかも知れませんが、話を聞いた上で必要だと思えば加入し、不要だと思えば断ってもいいのです。
ただ、「新たに保険に加入したら保険料支払いで家計が苦しくなった」となっては本末転倒ですので、ご注意ください。安心して、楽しく、充実したセカンドライフを送れますようお祈りしております。
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