HOME » 保険会社 » マスミューチュアル生命にはどんな商品がある?FPによる商品評価
マスミューチュアル生命をご存知でしょうか。主に銀行などの金融機関を中心に保険販売を行っている会社です。今回はそのマスミューチュアル生命の商品について紹介していきます。
本題に入る前に「マスミューチュアル生命保険株式会社」の安全性等について述べておきます。マスミューチュアル生命は、アメリカの大手金融グループ「マスミューチュアル・フィナンシャル・グループ」の一員として、2001年にスタートしました。グループとしては、6,420億ドル超(約77兆4,316億円・・・2015年12月現在、1ドル=120.61円で換算)の運用資産を保有している金融グループです。マスミューチュアル生命だけで見ても、2015年度業績が総資産としては2兆5,716億円、保険料収入では5,644億円、基礎利益は203億円となっています。保険会社の安全性を示す「ソルベンシー・マージン比率」については734.9%となっており、安全基準を十分に満たしている会社といえます。
マスミューチュアル生命では基本的に募集代理店を通じて保険販売を行っているため、銀行や証券会社などで契約をすることになります。商品の多さに驚かれてしまうかもしれませんが、単に募集代理店によって商品名を変えて販売されているだけと思ってください。契約可能年齢、加入可能な最低保障金額等、細かい内容はことなっていますが、内容は概ね同じです。大きく分けると以下の2つを取り扱っています。
・個人年金保険
・終身保険
いずれも一時金を最初に払って運用していくタイプの保険商品です。老後資金としてはもちろん、資産の運用先として、もしくは相続対策等としても利用することもできます。
具体的にみていきましょう。
○個人年金保険
商品名 | 募集代理店 |
at will(アットウィル)年金型 | 大和証券(株) |
エムソリューションⅢ年金型 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株) |
ピースフルデイズ | (株)三井住友銀行 |
Mass Fiesta plasⅢ(マスフィエスタプラススリー) | SMBC日興証券株(株) |
マスミューチュアル 定額年金 | 野村證券(株) |
みらいの果実 | (株)みずほ銀行 |
悠々時間アドバンス(円・米ドル・豪ドル) | (株)あおぞら銀行/(株)秋田銀行/(株)阿波銀行/(株)岩手銀行/(株)大分銀行/(株)鹿児島銀行/(株)関西アーバン銀行/(株)紀陽銀行/(株)熊本銀行/(株)佐賀銀行/(株)十六銀行/(株)親和銀行/(株)第四銀行/東海東京証券(株)/(株)東邦銀行/(株)西日本シティ銀行/(株)百十四銀行/(株)広島銀行/(株)福岡銀行/(株)三重銀行/みずほ証券(株)/(株)山形銀行/(株)横浜銀行 |
個人年金については以下の二つに分類できます。
・円建て
・外貨建て
共通する特徴としては、
・固定金利である(積立利率が契約時のまま変わらない。積立利率とは積立金に対する利回りを指す。一時払保険料に対してではないので要注意。月2回判定がある。)
・据置期間が0年~10年である(最短で契約後2ヶ月後から受取可能)
・確定年金か年金総額保証付終身年金かを選択できる
・1年の年金の受取回数を自由に選べる(年1・2・4・6・12回)
・申込は一時金でのみ可能
・初期費用などの手数料がかかる。例えば初期費用(一時払保険料に対しての金額)については下記のように通貨によって異なる。
円 | 4.0% |
米ドル | 4.5~7.0% |
豪ドル | 5.0~7.0% |
外貨建ての場合、米ドル建てと豪ドル建てがあります。外貨建てを選んだ場合、上記の共通の特徴以外に、
・ターゲットレートを予め設定することができるため、元本割れなどを防ぐことが可能。
・為替手数料がかかる
為替リスクなどの注意点をしっかりと理解していれば、円建てよりも高い金利を得ることができるので、すぐに使う予定のない方であれば外貨建ての方がおすすめです。
※外貨建ての積立金利基準
米ドル建て→米ドル金利スワップレート
豪ドル建て→オーストラリア国債の複利利回りの平均値
※ターゲットレートとは
・・・1USD/AUD=50円~200円(1円単位)で設定でき、設定レートよりも円高になった場合は、外貨のまま据置となります。逆に設定レートよりも円安になったら、すぐに円に変換されます。ターゲットレートについては契約後も見直しができるようになっているので、変更が可能です。年金受取の度に判定があるため(為替判定日があります)、年1回の年金受取にするよりも年12回の年金受取にしておいた方が、受け取れるチャンスが増えると言えます。もし外貨のまま据え置かれた場合、その年金と利息はいつでも円か外貨で引き出すことが可能です。
○終身保険
商品名 | 種類 | 通貨 | 募集代理店 |
At will(アットウィル)終身保障型 | 積立利率金利連動型終身保険 | 円 | 大和証券(株) |
エムソリューションⅢ終身保険型 | 積立利率金利連動型終身保険 | 円 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株) |
予定利率金利連動型一時払終身保険 | 米ドル・豪ドル | ||
エンロード | 積立利率金利連動型終身保険 | 円 | (株)あおぞら銀行/(株)しずおか銀行 |
マスミューチュアル定額終身保険 | 積立利率金利連動型終身保険 | 円 | 野村證券(株) |
みらいの気持ち | 積立利率金利連動型終身保険 | 円 | (株)みずほ銀行 |
ピースフルロード | 積立利率金利連動型終身保険(確定積立金区分型) | 円 | (株)三井住友銀行 |
マスミューチュアル終身プラス | 積立利率金利連動型終身保険(確定積立金区分型) | 円・ 米ドル |
(株)阿波銀行 ※円建てのみであれば(株)関西アーバン銀行でも取り扱いあり |
終身保険プレミアム | 予定利率金利連動型一時払終身保険 | 米ドル・豪ドル | みずほ証券(株) |
予定利率金利連動型一時払終身保険(初期死亡保険金抑制型) | 米ドル・豪ドル | ||
マスミューチュアル終身保険 | 予定利率金利連動型一時払終身保険(初期死亡保険金抑制型) | 米ドル・豪ドル | 野村證券(株) |
共通の特徴としては
・一定期間、固定金利である(積立利率が契約時のまま変わらない。契約時の積立利率については月2回判定がある。契約年齢によっては契約後利率見直しが1回か2回ある。)
・申込は一時金でのみ可能
・90歳まで加入できる
・5年経過後であれば、解約返戻金を原資に年金移行できる
・契約初期費用手数料がかかる
では異なる点になりますが、下記のようになります。
「確定積立金区分型」・・・毎年決まった金額が積み上がっていき、死亡保険金額はその積立金と一時払い保険料を合せた金額となります。確定積立金については毎年受け取ることが可能です。
「初期死亡保険金抑制型」・・・契約時に健康上の告知が不要となっていますが、その代わりに契約後5年間は死亡保険金が低めに抑えられています。
保険なので通常は健康上の告知が必要となりますが、円建ての積立利率金利連動型終身保険は基本的に健康上の告知は不要です。また外貨建てであっても「初期死亡保険金抑制型」のように無告知で加入できるものが用意されています。健康上の問題で保険加入を諦めている方にも検討できる商品となっています。
また外貨建ての特徴についても確認しておきましょう。
・基本保険金額は契約通貨建てで一生涯最低保証(円建てでの保証ではない点に注意が必要)
・目標金額を設定し、円建てでの解約返戻金が目標額に達したら自動で円建て終身保険に移行(目標設定は一時払保険料に対し120%~200%。10%単位で設定。)
・為替手数料がかかる
個人年金保険同様、外貨建ての場合は終身保険でもターゲット設定ができますので、上手に利用しましょう。為替についてあまりよくわからない方でも「円建て」での目標額を設定できるようになっているので分かりやすいかと思いますが、大事な資産ですので為替リスクを理解できない場合にはあまりおすすめできません。為替リスクについて十分理解した上で申し込まなければ元本割れする可能性があります。ご注意ください。
冒頭でマスミューチュアル生命の安全性について触れました。保険商品は契約してから長く続けていくものなので生命保険会社の安全性はとても重要です。その点でマスミューチュアル生命の保険については安心して加入できる商品といえるでしょう。
商品内容についてですが、ネックなのは手数料が高い点です。契約初期費用が高く、手数料を気にされる方にはひっかかるところかもしれません。商品によってはその他管理費などの手数料もあります。その点を踏まえて検討する必要があります。ただ安心できる形で高めの金利で運用することを求める方にはとてもいい商品です。外貨建ての場合、円建てではできない高金利運用、そしてタイミングを狙えば為替差益を得ることも可能です。通常であれば自分で円転換しなければならないものですが、特約を設定することで円転換するタイミングを逃さないよう、あらかじめターゲット設定ができるのでとても安心できます。
為替リスクはありますが、他の運用商品に比べれば安心して運用できる内容となっています。いまは比較的円高傾向にありますので(1US$=約103円・・・2016年10月現在)、外貨建てをする場合、タイミングとしては悪くないといえるのではないでしょうか。金利は以前より下がってしまっていますが、それでも円建てよりは高めになっています。マスミューチュアル生命の保険商品は死亡、病気等に備える保険というよりも、まとまった資金の預け先として使える保険、つまり貯蓄型の保険といえます。相続対策に利用するのであれば円建て商品で十分ですが、少しでも資産を増やしたいということであればぜひ外貨建てを検討してみてください。
最後に注意点です。商品性に違いはそこまでありませんが募集代理店によって最低預入金額等の条件が異なります。関心をもっていただいた場合はまず近くの募集代理店に聞いていただくか、マスミューチュアル生命のホームページで確認していただくことをおすすめいたします。