老後の資産を自分で作る「個人年金保険」
「年金」と言うと、毎月の給料から自動的に天引きされ、65歳になったら受け取ることができる、国の制度として決まっているものというイメージを持っている方が多いと思います。確かにその通りで、このような年金を「公的年金」と言い、自営業の方であれば「国民年金」を、サラリーマンの方であれば「厚生年金」を働き始めてから退職するまでの間払い続け、65歳になった時点でそれまで積み立ててきた年金の金額に応じて毎月一定の金額を受け取ることができます。
国民年金は毎月支払う金額が決まっており、何年間支払ったかによって年金として毎月受け取ることが出来る金額が決まっています。
対して厚生年金は、もらっているお給料の金額によって支払う年金の金額が異なり、お給料が高い方ほど支払わなければいけない年金額が高くなり、また65歳以降に受け取れる年金の金額も高くなります。
2016年現在、国民年金を満額(20歳から60歳までの40年間)支払った場合に65歳以降で受け取れる年金額は毎月約8万円になります。対して厚生年金はお給料をもらっていた期間の平均年収(月収)によって受け取れる年金額は変わりますが、例えば平均月収が35万円だった場合、厚生年金と国民年金を合わせて65歳以降に受け取れる年金は約17万円となります。
これを多いと感じる方、少ないと感じる方それぞれいらっしゃるかと思いますが、データ資料によると、65歳以降の方が生活するために最低限必要な毎月のお金は約23万円と言われており、余裕ある生活を送るためには約30万円必要と言われています。
毎月生活するために23万円必要だとした場合、厚生年金の方でも毎月17万円しかもらうことが出来ないとなると、毎月6万円、年間72万円ものお金が足りていないという事になります。
この不足しているお金を、定年までの間に積み立てた貯金を切り崩すという方法をとる方もいらっしゃいますが、できれば貯金を切り崩さず、毎月受け取るお金を増やしてこの不足しているお金をなくしたいという方もいらっしゃるかと思います。
このような要望に応える形で生命保険会社が販売している商品に、「個人年金保険」というものがあります。公的年金と違い、個々人が積み立てる年金のため、個人年金という名前になっているのです。今回はこの個人年金保険について詳しく見ていきたいと思います。
他に書いた参考記事:
個人年金保険+生命保険料控除を使って年利9%の資産形成をする!
では、生命保険会社が販売している個人年金保険にはどのような種類があるのでしょうか。以下の図をご覧ください。
タイプ①の「有期型」というのは、その名の通り期間が決まっているタイプの個人年金保険です。一般的には、5年間または10年間の2通りの個人年金保険を提供している生命保険会社がほとんどです。
このタイプの個人年金保険は、5年間や10年間個人年金を受け取った後はもう受け取ることは出来ません。また、個人年金を受け取っている期間中にもし万が一亡くなった場合、「確定年金タイプ」であればまだ受け取っていない残りの期間分の個人年金を残された遺族が受け取ることができます。
近年では確定年金タイプの個人年金保険は減ってきており、年金受取期間中でもなくなった場合にはそのまま個人年金の受け取りも消滅してしまうタイプのものが主流となってきました。
これに対してタイプ②の「終身型」というのは、年金の受け取りが始まってから亡くなるまでの間ずっと年金を受け取ることが出来ます。5年間、10年間と期間が決められておらず、亡くなるまでずっとですから、例えば65歳から個人年金保険の受け取りを開始して、90歳まで生きていた場合、25年間もの間個人年金保険を受け取ることが出来るのです。
しかし、逆に65歳から個人年金保険の受け取りを開始したが、67歳で亡くなってしまったという場合では、年金は2年間しか受け取ることはできず、残された遺族も残り分の個人年金保険を受け取るというような事は出来ません。
保険料だけで比較してみると、年金受取開始から毎月受け取れる年金の金額を同じにした場合、タイプ①の有期型よりもタイプ②の終身型の方が保険料は高くなります。これは、先ほどお伝えしたように、長生きした場合に生命保険会社が支払わなければいけない金額が多くなってしまうというリスクから来るもので、基本的に生命保険会社は、日本人の平均寿命(男性:79歳、女性:82歳)まで生きた場合という統計情報を元に保険料を計算します。
そのため、タイプ②の終身型の場合、男性は79歳未満、女性は82歳未満で亡くなった場合、それまで個人年金保険に積み立てた金額よりも受け取れる個人年金の金額の方が少なくなる計算になります。自分自身が何歳まで生きられるかは誰にも分かりませんが、このようなリスクも加味して加入を検討しなければいけません。
では、これから個人年金保険に入ろうと思った場合、どのような個人年金保険に加入したら良いのでしょうか。
実は個人年金保険には、先ほどお伝えした「タイプ① 有期型」「タイプ② 終身型」の2種類と合わせて、「毎月積立型」「一括積立型」という種類にも分類されています。
これまでご紹介した種類を図にすると以下のようになります。
これらの種類の個人年金保険のどのタイプに加入すれば良いのか、分からないという方も多いと思います。
次に、年代別で支持されている個人年金保険について見ていきましょう。
年代別を大きく分けて20代、30代、40代、50代と分けます。60代以降は実際に仕事も終わり、年金を受け取っている年齢となっていますので、60代以降は今回は除外します。
まずはじめに、それぞれの年代で今から起きるライフイベント、これから起きるライフイベントは何があるのかを考える必要があります。
・20代
人によってはもう結婚されている方、もしくは近い将来(10年以内など)に結婚される方がほとんどかと思います。また、子供がいる方はまだ子供は小さいという方も多いでしょう。まだ子供がいないという方も、これから出産という大きなライフイベントを迎える方もおり、老後よりも近い将来で大きなお金を使わなければいけない年代であると言えます。
・30代
20代よりもさらに結婚が身近になっている年代です。結婚されている方も増えていたり、すでに結婚を前提としたお付き合いをしている方も多いと思われます。また、20代前半などに子供を産んだ方は、子供が小学生程度の方もいらっしゃるでしょう。
また20代よりもこれから子供を作ろうと思っている方は多いと思われます。30代の方も老後より近い将来で大きなお金を使わなければいけない年代であると言えます。
・40代
結婚をいうライフイベントを終えたという方は30代と比べると多くなっています。
また、子供がいる家庭を持っているという方も30代と比べ増えています。出産が早かった方は子供の大学進学がもう目前という方もいらっしゃったり、これから高校・大学といった子供の教育費がかかる年齢が来るという方もいらっしゃると思います。
収入面では30代よりも収入が増えている方は多いでしょう。
・50代
結婚、出産といったライフイベントを終えた方がほとんどで、残すは子供の教育費だけ考えれば良いという方が非常に増えていると思います。収入面では40代よりも増えている方が多いと思いますが、出ていくお金も40代よりも多いという方も少なくないかもしれません。
また、50代になると老後の生活も気にし始め、毎月の収入とは別に、ある程度まとまった貯金をしているという方もいらっしゃるかもしれません。
このように、年代によって考えなければいけない事、直面しているライフイベントはそれぞれです。それぞれによって事情が異なりますから、一概にどの個人年金保険に加入すれば良いとは言い切れませんが、傾向としてどの年代がどの個人年金保険を支持しているのかをご紹介いたします。
・20代、30代
結婚、出産などまとまった出費を迎える方が多いため、個人年金保険は「毎月積立型」を選ぶ方が多いです。毎月の収支の中で、貯金できる金額の一部を個人年金保険に充てているという方が多いです。
・40代
40代の方は、「毎月積立型」「一括積立型」のどちらに入るかが分かれます。子供が大きい方で、貯金に余裕がある方は「一括積立型」を選ぶ方が多く、そうでない方は「毎月積立型」を選ぶ傾向にあります。
・50代
50代の方は「一括積立型」を選ぶ方が多いです。手元にまとまった貯金があり、これを銀行に眠らせておいてももったいないという理由から、一括して個人年金保険にお金を移すという方が多い傾向にあります。
このように、ご自身の状況にあわせて個人年金保険を選ぶと良いでしょう。
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