HOME » 保険会社 » 第一生命の終身保険の商品内容をレビュー、口コミや評判をFPが分析
【はじめに】
様々な保険商品が流通していますが、第一生命のCMは20代の青年と小学生くらいの少年がラップ対決しているのが、とても印象的です。さて、このCMで紹介されている第一生命の終身保険「ブライトWay」はいったいどういった保険なのか、どんな人にメリットがあるのか、解説していきたいと思います。
【商品内容】
この保険は主契約が終身保険となっており、被保険者に死亡・高度障害状態となったときに備えることができます。また、これに①定期保険特約、②逓減定期保険特約、③遺族収入保障特約、④アシストセブン、⑤アシストセブンプラス、⑥インカムサポートのいずれか1つ以上の特約を付加することで、様々な事由に備えることができる保険です。さらに、この他にも16の特約を付加することができ、まさに「保障てんこ盛り」といった保険商品と言えるのではないでしょうか。
①定期保険特約(保証期間が決まっている生命保険。掛け捨て。)
②逓減定期保険特約(定期保険のうち、保険金額が年を経るごとに減少していくもの。保険料は一定であるため加入初期のうちは割安である。掛け捨て。)
③遺族収入保障特約(被保険者が死亡または高度障害となったときに保険金が遺族年金として支払われるもの。保険期間満期に被保険者が生存している場合には、満期給付金が支払われる。)
④アシストセブン(特定状態保障定期保険特約:3大疾病による所定の状態になったとき、所定の要介護状態となったとき、所定の身体障害状態となったとき、死亡したときに保険金が支払われる。)
⑤アシストセブンプラス(特定状態充実保障付死亡保障特約:アシストセブンの保障内容に加え、生まれて初めて上皮内がん等にかかったとき、急性心筋梗塞・脳卒中により1日以上入院したとき、公的介護保険の対象となる満40歳以上の者が要介護1と認定されたとき、身体障害者福祉法の1級から4級の障害に該当したときに保険金が支払われる。アシストセブンより軽い状態などまで備えている。)、
⑥インカムサポート(特定状態収入保障特約:3大疾病による所定の状態になったとき、所定の要介護状態となったとき、所定の身体障害状態となったとき、死亡したときに保険金が年金として支払われる。)
ここまで簡単に商品内容について書かせていただきましたが、どのような印象を持ちましたでしょうか。おそらく「有名な保険会社だし、よくわからないけど色んなことをカバーしていて安心できそう」といったところでしょうか。確かに、様々な特約が充実しており、色々と組み合わせることで自分にベストな形の保険となり得るかもしれません。
しかし、私個人的には、この保険について否定的な考えを持っています。
大きく理由は2つ。まず1つ目は、非常に商品の仕組みが分かりにくいこと。そして2つ目は、この保険商品がセット型の商品であることです。
1つ目の理由、「商品の仕組みが分かりにくいこと」ですが、ホームページやパンフレット等で商品概要をご覧いただくとわかるかと思いますが、主契約が終身保険であり、22種類もの特約があります。そして、それぞれの特約の中で保障の内容が重複していたりするので、その保障内容が本当に自分に合っているのか、見極めなくてはなりません。
2つ目の理由、「セット型の保険であること」に関しては、ブライトWayだけでなく、他社含めた類似の商品に関しても言えることです。セット型商品というのは、死亡保障+定期保険、死亡保障+介護保障などといった、複数の保障が組み合わされた保険のことを言います。セット型保障の問題点については、以下で説明します。
実際問題として、セット型保険というのは保険会社各社の主力商品として多く流通しています。それなのになぜ、セット型の保険商品は問題なのでしょうか。
―理由1:特約を詰め込むことにより、保険料が高くなる。―
セット型商品というのは、「特約」という形で保障を充実させていくことができます。しかし実際は、「特約」という名の1つの保険契約を結ぶことと一緒ほぼ一緒なのです。すると、特約を詰め込んでいくことでどんどん保険料が高くなり、さらに「オーダーメード」や「あなただけの保険」などといった銘を打つことで、他保険等との比較対象が曖昧になり保険料が高くなっていることに気付きにくくなります。
例えば、保険の販売員に色々と将来の不安についての話をされ、あれもこれも保証を付けたくなるかもしれませんが、終身保険、定期保険、医療保険等それぞれ特化した保険に加入したほうが安くなる場合が多いです。
―理由2:更新型であること―
更新型のデメリットとして、同じ保障内容で継続しようとすると更新のたびに保険料が上がっていくことが挙げられます。ブライトWayも主契約部分は終身型であるにもかかわらず、特約部分の多くは更新型です。若い世代を起用したCMで若い世代にも保険の必要性を喚起しているのに、本当に必要なときに充実した保障を受けられない可能性があります。
ブライトWayの約款を見ると、例えば入院一時給付金や8大生活習慣病入院特約の保険期間等は80歳までとなっています。高齢化が進む中で、80歳以降に入院する人はどれだけいるでしょうか。高齢者の医療負担も増え、また多くの80歳以降の人は勤労所得がないのに、その特約はニーズにあっているのでしょうか。
【こんな人にオススメ】
ブライトWayは上記の通り注意点が多いのも事実ですが、特約の組み合わせによっては、自分にベストな保険となり得る可能性がある保険商品です。アシストセブンプラスなどでは、広い範囲の支払事由をカバーでき、自分のもつ将来の不安と合致するのなら良い部分はあります。また主契約等部分に関しては貯蓄性があり、解約返戻金が発生します。特約部分で掛け捨てがあることに注意しなければなりませんが、割り切って考えられればいいのかもしれません。
ただ、筆者個人的には、これまで挙げたデメリットの方が大きく、必要な保証はそれぞれ特化した割安の保険を複数選んだ方が良いかと考えます。
生き方、働き方の多様化が尊重される中で、人々のニーズも多様化しており、保険会社もその多様化に合致したサービスの開発を進めています。その中で、本当に自分に合った保険を探すのは、なかなか難しいことかもしれません。そんなときは、自分で本やインターネットで調べるのも良いかもしれませんが、実際に人に聞いてみるのが一番いいかと思います。実際に保険会社の窓口に行くのもいいですし、現在は複数の保険会社の商品を取扱う代理店も増えてきています。
行けば行ったで担当者から多少セールスされるかもしれませんが、「こういった保険を検討しているが、分からないから教えてほしい」というスタンスで、出来れば数社もしくは数名から相談するのがいいと思います。そうすることで、複数社と比較検討し、自分に本当に必要な保険がどういったものなのかが、見えてくると思います。ただし、担当者によっては「こういった不安がありますね。こんな時の保障が足りないですね」と、不安をあおり自社商品をゴリ押ししてくる人も(たまに)おりますから、一時の不安感情で契約を急いでしまい、あとから後悔するなんてことのないよう、くれぐれもお気をつけて。