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認知症高齢者の保険制度を神戸市が補償!神戸モデルの制度説明から認知症対策までを解説

認知症高齢者の事故に対応するために、神戸市が賠償金を負担したり、認知症診断が出来るように支援制度を整えたというニュースがありました。
この制度は「神戸モデル」と呼ばれ、全国初の制度です。

神戸モデルとは何か、なぜこのような仕組みが出来たのか、また神戸市以外の方が認知症に備えるためにはどうすれば良いのかをまとめました。

神戸モデルとは

神戸モデルとは、「認知症になっても安心して暮らせるまちへ」をテーマにした全国初の市の支援制度です。 ポイントは以下の4つです。

1.認知症診断の受診制度
2.市が賠償責任保険へ加入
3.認知症の方が起こした事故に神戸市民が巻き込まれたら見舞金を支給
4.市民のうすく広い負担で成り立つ仕組み


65歳以上の方は、医療機関で2段階方式の認知症診断の受診が自己負担なしで受けられます。
認知症にはアルツハイマー型、レビー小体型などいくつか種類があり、それぞれ対処法が異なります。早期発見することにより、より良い対処ができると考えられます。

受診により認知症と診断されると、市が賠償責任保険に加入してくれたり、事故の相談、非常時のかけつけサービスなどの支援が受けられます。 認知症の診断を嫌がる人もいますが、良いサービスを受けられる事で、早期発見にも繋がります。

そして、認知症の方だけでなく神戸市民全員を対象として、認知症の方が起こした事故に遭った場合は最高3千万円の見舞金を支給してくれます。こちらは事前登録が必要なく、市民であれば対象となります。

気になる負担額ですが、財源は市民税に上乗せされる形になります。
個人市民税は、均等の額によって課税される均等割と、所得金額に応じて負担する所得割とで構成されています。 この均等割の部分に年間400円がプラスされ、それが「神戸モデル」の財源となります。

認知症患者の事故で負担させられる高額な賠償費用

認知症患者の事故として問題となったのは、ニュースにもあった平成19年に起きた愛知県での事件です。
当時認知症の男性(91歳)が徘徊中に電車に跳ねられ死亡し、JR東海が遺族に720万円の賠償を提訴しました。 1審では妻と別居の長男に720万円の損害賠償が命じられました。 2審では長男は監督者に当たらないとして、妻のみに359万円の支払いが命じられました。

結果的には最高裁でJR東海側が逆転敗訴となりましたが、認知症の家族が賠償を負う可能性があることや、被害者側の負担などが問題として残りました。
日本は高齢化が進んでいることもあり、年々認知症患者は増加しています。そのため、全国で認知症患者による事故が増えているのが現状です。

認知症対策として、民間保険会社からは認知症保険も販売開始

これらを受けて、損害保険会社はここ数年で認知症に関する保険を販売するようになりました。
神戸モデルのように自治体で支援体制が整っているところは良いですが、この体制が全国的に広がるのはまだまだ先のことだと思います。

認知症に関する保険は各社補償内容やサービスが異なります。
愛知県の事例のように線路内に立ち入った場合でも保険が適用されるように補償範囲を広げたものや、行方不明になった場合の捜索サービスなどもあります。

認知症と診断された場合、程度にも寄りますがほとんどの場合介護が必要となってくるでしょう。介護費用というのも大きな負担となりますが、万が一の事故には多額の負担がのしかかって来ます。

本人に責任能力がないと判断された場合、その家族が賠償を負う可能性もあります。その負担を減らす方法の一つに保険があります。 認知症の心配がある方、その家族の方は一度各社の補償やサービスを比較してみると良いでしょう。

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