増えている「低所得高齢者」
今年の6月30日、衝撃的なニュースが話題となりました。東海道新幹線の車両の中で71歳男性の方が焼身自殺をしました。
この男性は自殺をする時、生活保護を受けており生活苦のもと年金の低さや税金・保険料の高さに憤りを感じており事件を起こしたというのです。
しかしこの男性の素性を調べてみると、実はこの男性は35年間に渡り年金を納めていたにも関わらず、受け取れる年金額は生活保護者よりも少ない12万円ほどであったため、生活ができないという事で生活保護を受けていたのです。
この男性が住んでいた東京都杉並区は生活保護者に毎月144,300円の生活保護を渡されるため、受け取れる年金よりも多くのお金を受け取ることが出来たのです。
生活保護により収入は増え、生活保護者は住民税・健康保険の金額の負担の減免はされるものの、とても生活していくことが困難ないわゆる「下流老人」となってしまったのです。
しかし、これは果たして他人事とできるものなのでしょうか。今現役で働いている層の方々も、このような「下流老人」となってしまう可能性がある方は非常に多いのです。
今現在、国会では2025年までに公的年金の受け取りを67歳〜70歳に引き上げようという案が検討されています。65歳から受け取れるはずであった年金が、2年〜5年間も後ろに伸びてしまうのです。
これに対し、会社の定年退職を60歳としている会社では、最大で60歳〜70歳までの10年間もの間、「無収入期間」が出来てしまうのです。
60歳から再雇用される先があれば良いですが、誰でも仕事に就けるわけではありません。仕事に就けなかった方はその時に持っている預貯金を切り崩しながら生活をしていかなければいかなくなるのです。
このように、日本では今着々と低所得高齢者・下流老人が増えてきています。
定年までまだ先の事だからと思わず、今から少しずつ老後を意識していかなければいけないのです。
では、老後にお金がかかる事は分かったが、実際に老後に必要なお金がどれくらいなのでしょうか。まずはどれくらい必要なのか全体を知ることから始めましょう。
総務省の家計調査によると、老後夫婦2人で必要な毎月の支出は約22万円〜23万円と言われています。しかしこれは最低限必要な日常生活日で、ゆとりある生活を送るためには約30万円〜35万円は必要と言われています。
最低限必要な日常生活日の内訳は以下のようになっています。
[老後最低限必要な消費支出]
どうでしょうか。決して贅沢をして暮らしているわけではないことが分かると思います。
この統計では「住居費」が約15,000円となっていますが、これは持ち家で住宅ローンの支払い等がなく、1年に1回の固定資産税(約13万円)がここに反映されていると想定されます。つまり、老後賃貸住宅にすまなければいけない方・住宅ローンが残っている方は、ここからさらに家賃や住宅ローンなどの住宅費用がかかってくるのです。
この毎月23万円の支出が死ぬまで毎月かかってくるのです。毎月23万円を年間に換算すると約276万円(23万円×12ヶ月)となります。現在、男女ともに平均寿命が伸びており、男性は80歳、女性は86歳と言われています。65歳で定年退職を迎えた世帯の方だと、男性の平均寿命まで15年間、女性の平均寿命まで21年間もあります。
女性の平均寿命の21年間で考えた場合、276万円×21年間=5,796万円ものお金が老後に必要になるという事が分かります。
老後夫婦2人で過ごした場合に最低限必要な毎月の支出は約23万円という事は分かりましたが、では単身の場合はどうでしょうか。
実は単身の場合でもそこまで大きく変わらないのです。食費や水道光熱費は若干安くなるものの、住宅費や保健医療、交通費などはほぼ変わりません。ファイナンシャルプランニング上では、夫婦2人の場合と単身の場合とでは、生活費は約8掛けになると言われています。つまり、夫婦2人で23万円の家庭の方は、単身では約19万円という計算になるという事です。
老後に必要なお金は夫婦2人で最低毎月23万円、単身の場合でも約19万円必要という事が分かりました。また、女性の平均寿命まで生きた場合、毎月23万円で生活した場合には総額5,796万円必要という事も分かりました。
ではこのお金をすべて自分たちで準備しなければいけないのでしょうか。ここで老後の生活を支えるものとして、冒頭にお話した「公的年金」があるのです。では、現在もらえる公的年金について見ていきましょう。
公的年金は大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」に分けられます。国民年金は主に自営業の方、専業主婦の方が支払っており、厚生年金はサラリーマンの方が支払っています。サラリーマンの方は厚生年金の支払いの中に国民年金の支払いも含まれているため、老後には国民年金と厚生年金の2つの年金を受取ることが出来ます。
この国民年金と厚生年金ですが、それぞれ掛けた年数によって受け取れる金額が変わります。また、厚生年金の場合は掛けた期間の平均の月収によっても受け取れる年金額が変わります。
国民年金と厚生年金の受け取れる年金額の一覧は以下のようになっています。
[国民年金と厚生年金の受取額(平成27年現在)]
冒頭にお話した東海道新幹線で焼身自殺をした男性の方は受け取れる年金額が毎月12万円であり、これでは生活できないため生活保護を受けていたとご説明しました。
上の図を見てみると、国民年金しか支払っていない自営業者の方は40年間掛けていても毎月受け取れる年金は約6.5万円しかもらえず、サラリーマンの方でも平均月収が25万円前後の方、平均月収が45万円の方でも加入年数が25年の方などは、冒頭の男性の方と同じくらいか、またはそれよりも年金額が少ないことが分かると思います。
上の図は老人1人あたり受け取れる年金額であり、夫婦2人の場合は国民年金がもう1人分追加して受け取れることになります。自営業者の方であれば、夫婦2人の場合は受け取れる年金額は倍になり、サラリーマン家庭の方は、ご自身が受け取れる国民年金・厚生年金の金額に、奥様の分の国民年金が追加されて受け取ることができます。
そのようにして見てみると、夫婦2人サラリーマン家庭の方であれば、夫婦2人の年金で最低限生活に必要な支出はまかなえる事が分かると思います。しかし、単身の方は上記の図の金額しか受け取ることができないため、足りない分は自分自身で貯蓄しなければいけないという事になります。
老後単身の方が必要な生活費は毎月約19万円に対して、自営業者の方で40年間掛け続けた方が受け取れる年金は毎月約6.5万円、その差額にして毎月12.5万円、年間150万円が足りないという計算になります。65歳以降、例えば男性の平均寿命である80歳まで生きた場合、年間150万円×15年間=2,250万円が足りないという計算になります。
25歳の方が年金が受け取れる65歳までの40年間毎月1万円ずつ貯蓄していった場合、65歳時点で貯まっている金額は480万円(1万円×12ヶ月×40年)です。上記の2250万円には届かないものの、毎月1万円の貯蓄でも必要な貯蓄額の約4分の1を貯めることができます。
今月ちょっとお金を使いすぎちゃった、ボーナスもらったら高い買い物しようと思う気持ちも分かりますが、ぜひ今から毎月1万円だけでもしっかり貯蓄していこうと決心し、実践して頂ければ老後には非常に高額のお金が貯まっていますので、ぜひ自分自身のためと思い今からはじめてみましょう。
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