「簡易生命保険法とは、一言で説明すると簡易生命保険に関して規定している法律のことです。この簡易生命保険法で取り扱っている保険を「簡易生命保険」と言います。この法律自体は、国民に簡易に利用できる生命保険を、確実な経営により、なるべく安い保険料で提供し、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的としています。
「簡易生命保険法」の中には、保険契約者の生死について保険金または年金を支払うことや、疾病及び不慮の事故又は第三者の加害行為により傷を受けた場合にも保険金を支払うなど、現在の保険と同じような内容の規約が定められていました。
「簡易生命保険法」で取り扱っている簡易生命保険とは、通称「簡保」と呼ばれており、郵政民営化以前に、日本政府・日本郵政公社が行っていた生命保険のことです。
簡易生命保険は1916年に当時の逓信省(ていしんしょう)によって、創設されました。逓信省(ていしんしょう)は、日本の郵便や通信を管轄する中央官庁です。現在の総務省、日本郵政、日本電信電話(NTT)がその後身に相当します。
簡易生命保険は医師の診断や職業上の制約がなかったため、民間の保険への加入が難しい人でも入れるというメリットがありました。身近に立地する郵便局での申し込みが可能だったため、簡単に保険に入れるということから「簡易生命保険」という名前がついたようです。
加入に際する制約が少ないため、保険業法で取り扱っている通常の生命保険と違い、保険金などは低く抑えられていました。
簡易生命保険には、終身保険、定期保険、養老保険、家族保険、財形貯蓄保険、終身年金保険、定期年金保険などがあります。
しかし、郵政民営化により、民営化前に加入していた簡易生命保険は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に承継されました。保険料等の支払いや保険料の収納、住所変更、各種申し出等の実際の業務はかんぽ生命に委託されています。民営化前に作られ、規定とされていた「簡易生命保険法」は、民営化と同時に廃止となりました。
民営化前に加入していた簡易生命保険契約は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に引き継がれ、その簡易生命保険契約が消滅するまでは管理されます。保険料等の支払いについての政府保証も、消滅するまでは継続するようです。
民営化により、簡易生命保険法が廃止になったため、新たに簡易生命保険に加入することはできなくなっています。保険の内容も変更ができないようです。
そして、現在のかんぽ生命の生命保険契約は簡易生命保険法で取り扱っていた簡易生命保険とは異なり、政府保証はありません。かんぽ生命という名前ではありますが、簡易生命保険法ではなく、通常の保険業法での取り扱いになっています。