日本にある福祉制度では、「健康保険」と「介護保険」が特徴的です。北欧各国では所得税が40%、欧州では消費税が18%というところがあり、高福祉を実現するには、税金に頼らざるを得ないのが実情です。全く費用負担をしないまま、福祉制度の恩恵にあずかれる国はアラブの産油国の一部のみ。日本は石油資源がありませんから、国民皆保険制度をうまく利用しているのです。
介護保険制度は、40歳以上の人が支払う「保険料」だけでなく、「税金」も元手になって運営されています。運営者は市区町村と特別区(以下、市区町村)。都道府県と国はサポート役に徹します。運営者を「保険者」、介護が必要になったときにサービスを受けることができる人のことを「被保険者」と呼びますが、介護施設運営者は、介護保険での介護報酬を役所から受取ることで、運営が可能になります。
では、民間で売られている介護保険がモデルチェンジを繰り返していることを、ご存知でしょうか?2001年に介護保険がスタートした際は、損害保険会社が積極的に介護費用保険を販売していました。ところが、現在は販売中止、介護保険商品自体が姿を消してしまいました。理由は「損害保険会社の合併」と「採算性が取れない保険商品の売り止め」にあります。
生命保険での介護保険は、2通りあると考えましょう。まずは「介護保険」と呼ばれる商品。これは死亡保険金と、介護一時金があるもの。つまり、普通の保険ならば死亡時に死亡保険金が受取れますが、要介護2以上になった時点で(これは保険会社の約款改定で変化します)、前倒しで保険金を受取るというものです。例えば、1,000万円の死亡保険金のある保険に加入していた場合、全額を先に受取るか、半分だけ受取るか…など会社によっては異なりますが、介護費用として使おうということなのです。
もう一つは「生存給付保険」というもの。これは、通常の死亡保険金が、「がん、脳卒中、急性心筋梗塞」の3大疾病罹患時と要介護2以上に適合した場合に、前倒しで使えるというもの。生前に給付を受けることから、生前給付保険というものになっています。ただ、これらは「終身保険型」であることを確認しましょう。国の介護保険は基本が65歳以上の高齢者に適応されます。もし、「定期保険型」の介護保険ならば、65歳の前に切れてしまうことがあります。これでは意味がありません。今は介護だけをうたう保険ではなく、終身保険に「介護でも使えます」という商品を選ぶのが最適でしょう。
民間介護保険の必要性…それは、毎年激増する介護問題があります。介護は、様々な病状や障害の人が対象になりますが、その本質は「身内では対応できない」ということに尽きます。
日本では「要介護」になるもっとも多い病気・症状は「脳梗塞」「脳卒中」「認知症」などが挙げられます。脳梗塞は、毎年50万人が発症すると言われ、脳内が酸欠や栄養失調により神経細胞が次々と壊死してしまうことを言います。
これに対して、脳卒中は脳血管疾患とも言われ、原因の多くは糖尿病であったり、高血圧や高脂血症です。 これらは加齢に依るもの、あるいは不摂生が高じて病に至るものと言われます。その結果、片麻痺や寝たきり、あるいは歩行や食事にも介助が必要になったり、一人で生活するには危険な状況に陥る可能性が高くなるため、24時間介護が欠かせない場合が多いのです。
問題は、これに「認知症」が加わることです。現在はそのメカニズムは分かっておらず、認知症を止める薬は開発されつつありますが、完全なものとは言えません。認知症を患うと、人格が変わってしまう弊害が生じ、もはや自宅で介護することが困難になるのが普通です。 こうなると、身内の負担は大きくなり、家族が支えるにしても、誰かがつききりになる必要が出てきます。会社を辞め、パートタイムに変わって、介護の時間を増やすにしても、こうした介護者へのサービスには様々な費用が必要です。
また、介護保険は公的なものがあるとはいえ、年々要介護の度合いは厳しく査定されるようになり、5から4、4から3というふうにより「軽度」に認定変更をされると、受けられるサービスも少なくなり、結果的に家族の介助努力がますます負担増となります。 このような介護のための制度は、実は「介助する側」の立場に立っていないのが現実です。
そのため、民間の介護保険は大変役に立ちます。そのためには、生命保険の終身保険に介護特約が付いていたり、介護保険に使えるものになっていると、とても安心なのです。 生命保険は「死亡保険金」や「高度障害保険金」としてお金が出ることは知られています。
ですが、生命保険の進化系には「要介護2以上になると、死亡保険金に該当するお金が出る」などと、各社で商品を開発販売しています。こうした状況は、各社の比較をする専門家、つまり保険のFPに相談するのが一番理解しやすいでしょう。いざという時とはどのような時なのか、そのときに誰に手続きをすればよいのか、こうした場合、FPの対応は大変役立ちます。