「個人年金保険」って何?
生命保険会社の商品に「個人年金保険」という商品があるのは皆さんご存知でしょうか。個人年金保険は、公的年金である国民年金、厚生年金で受け取れる年金を上乗せするためのものとして、個人の方が任意で加入することができる資産形成商品です。2016年現在、公的年金の受給年齢は65歳ですが、今後、受け取れる年齢が今よりも遅くなったり、受け取れる年金額が減ってしまう可能性が非常に高いと言われています。
その大きな理由として、少子高齢化の影響が大きく関係しています。現在、現役世代約2.6人で1人の老人の年金を支えていると言われています。これが約25年後の2040年になると、現役世代約1.4人で1人の老人を支えることになると予測されています。将来の現役世代の方の負担が今よりも重たくなっていくため、負担を少しでも軽くするために年金の受給年齢を遅くしたり、受け取れる年金額を減らすということは決して非現実的な話ではないということです。
このような背景から、今後益々、自分の老後の資産は自分で作らなければいけない必要性が増していきます。その自分の老後の資産を自分で作る方法の1つとして、今回ご紹介する個人年金保険は近年需要が高まってきています。今回はこの個人年金保険について、またその個人年金保険を取り扱っている日本生命の個人年金保険についてご紹介していきます。
個人年金保険の商品内容とは?
まずはじめに、個人年金保険の商品内容について見ていきましょう。個人年金保険とは、契約から年金の受け取りが開始されるまでの期間積み立て続け、年金の受け取り開始年齢になると毎年一定額の年金を受け取ることができるというものです。他の生命保険商品のような保障は付いておらず、主に老後への貯蓄目的として利用されています。
個人年金保険の商品内容を図に表すと以下のようになります。
個人年金保険は、契約から年金受け取り開始までの間、保険の対象者である被保険者の方(多くの場合、保険料を支払っている人と同じ方)が亡くなった場合、それまで積み立てた保険料はそのまま遺族に返金されます。そして、年金受け取り開始まで積み立て続けると、それから5年や10年といった一定期間、または商品によっては亡くなるまでの間、毎年一定額の年金を受け取ることができるという仕組みになっています。
では、今回の日本生命が取り扱っている個人年金保険の商品内容はどのようになっているのでしょうか。
日本生命の個人年金保険の商品内容も、先ほどお伝えした内容と全く同じ仕組となっています。その中で、年金の受け取りが開始されたあとに受け取ることができる期間を以下の3種類から選ぶことができます。
・5年確定年金型(年金の受け取り期間が5年間)
・10年確定年金型(年金の受け取り期間が10年間)
・15年確定年金型(年金の受け取り期間が15年間)
ここで記載しました「確定年金型」とは、年金の受け取り期間中に、被保険者の方が万が一亡くなった場合でも、遺された遺族に残りの期間の年金が支払われ、必ず定められた期間の年金を受け取ることが確約されているものを言います。
日本生命の個人年金保険の商品内容が他社の個人年金保険と同じ商品内容であることがお分かり頂けたかと思います。
それでは、個人年金保険を検討されている方は何をもって個人年金保険を選べば良いのでしょうか。
個人年金保険を比較検討する上で大切なのは、「貯蓄率」です。貯蓄率とは、それまで積み立てたお金がいくら増えて返ってくるかの指標となっており、積み立てたお金と同額のお金が返ってくる場合を「100%」と表し、積み立てたお金以上のお金が返ってくる場合、100%以上の数字で表示されます。逆に、積み立てたお金よりも少ないお金が返ってくる場合は、100%よりも少ない表示となります。
では、日本生命の個人年金保険の貯蓄率について見てみましょう。日本生命のホームページ上に貯蓄率を試算するシミュレーションをすることができますので、こちらを参考にご紹介したいと思います。
シミュレーションの条件は以下とします。
・30歳男性
・60歳から10年間に渡り毎年72万円受け取れる個人年金保険に加入
上記の条件で入力すると、毎月の保険料は18,345円、年金受け取りが開始される30年後に積み立てたお金の総額は6,604,200円となります。
これに対し、60歳から10年間に渡り、毎年72万円が受け取れるため、受け取れる年金の総額は7,200,000円となります。
貯蓄率の計算方法は、
(受け取れる年金額総額)÷(積み立てたお金の総額)×100
です。この計算式に当てはめると、
7,200,000÷6,604,200≒109(%)
となり、約109%の貯蓄率であるという事になります。
他社の個人年金保険の利率との比較結果は?
30歳男性の方が60歳から10年間に渡り、毎年72万円の個人年金保険に加入しようとした場合、貯蓄率が109%であるという事が先ほどの計算で分かりました。
それでは、この貯蓄率が他社と比較して高いのか低いのか、比較した結果についてご紹介したいと思います。
他の生命保険会社のホームページ上でも同じようにシミュレーションすることができますので、その結果をご紹介します。
・損保ジャパン日本興亜「THE みらいの積立保険」貯蓄率110%
・損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「個人年金保険」貯蓄率108.5%
・アフラック「個人年金保険」107.7%
上記の様な結果となりました。
このように見てみると、日本生命の個人年金保険は、もっとも貯蓄率が高い損保ジャパン日本興亜「THE みらいの積立保険」よりも貯蓄率は劣るものの、その他の商品よりも貯蓄率は高いという事がわかります。
最後に、老後の資産形成の方法として個人年金保険以外の金融商品も検討されている方向けに、個人年金保険を検討する上でのメリット、また注意しなければいけないことについてご紹介したいと思います。
はじめに、個人年金保険を検討する上でのメリットですが、個人年金保険を含む生命保険会社の商品は、契約し保険料を支払うと「生命保険料控除」と呼ばれる所得控除の対象となります。これは、会社勤めの方であれば年末調整という形で年末に還付金を受け取ることができたり、自営業などの方は確定申告することで還付金を受け取ることができるものです。これは、個人年金保険に支払った年間の保険料を年間の所得(年収)から差し引くことができ、払い過ぎた分の所得税が戻ってくるというものです。老後への資産形成をしながら、毎年の所得税を減らしてお金が戻ってくるというのは生命保険商品特有のものとなるため、非常に大きなメリットとなります。また、所得税だけでなく、翌年の住民税の軽減をすることもできます。
このようにメリットの大きい個人年金保険ですが、逆に注意しなければいけない点もあります。注意しなければいけない点というのは、実は年金を受け取る時にあります。個人年金保険は、長い期間積み立てて満期になった時に年金形式で利率を加えた金額を受け取るというものですが、この受け取る時に「雑所得」と呼ばれる所得税の種類の1つの税金がかかってしまいます。
雑所得の計算式は、
(受け取れるお金の総額)−(積み立てたお金の総額)×20%
となっています。
つまり、利率が付いてプラスになったお金に対して20%の税金が差し引かれてしまいます。
先ほどの30歳男性の例では、利率が付いてプラスになったお金は
7,200,000‐6,604,200=595,800円
です。この595,800円に対して20%の税金がかかるため、119,160円が税金として差し引かれてしまうのです。
このように、個人年金保険は所得税や住民税の優遇が受けられる反面、年金を受け取るときには雑所得と呼ばれる所得税が差し引かれてしまうので、この点も考慮した上でご検討されると良いでしょう。