学資保険の解約返戻金とは?
生命保険会社が提供している商品の1つ、学資保険というものを聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。学資保険とは、主に子どもの教育資金を積み立てる方法として利用されており、銀行にお金を預けるよりも高い利率で運用してくれる事から、最近では非常に人気の商品となっています。実際、子どもが生まれた家庭に生命保険の相談をすると、万が一亡くなった場合に死亡保険金が支払われる死亡保険や、病気やケガで入院した場合に入院給付金が支払われる医療保険、がん保険よりも学資保険について聞きたいという方が非常に多いです。何よりも子どもの教育費をどうにかしたいというニーズが顕在化されているため、子どもが生まれると真っ先に考えるのでしょう。
学資保険に加入したいけれどどのような商品内容なのかわからない、そのような方向けに、今回はかんぽ生命の学資保険を例に商品内容についてご紹介していきます。
かんぽ生命の学資保険の商品内容は?
かんぽ生命とは、郵便局が民営化された事にともない、新しく誕生した日本郵政グループの生命保険会社です。かんぽ生命に加入されたい場合は、最寄りの郵便局に行けば加入する事ができます。
かんぽ生命は通常の生命保険に加えて子どもの教育資金を積み立てる学資保険、老後の生活資金を積み立てる養老保険を主に取り扱っています。今回はその中の学資保険について商品内容とともにご紹介します。
かんぽ生命の学資保険には大きく4つの特長があります。
1、戻り率が魅力的です
2、学資金のお受け取りを3パターンから選べます
3、出産予定日の140日前からご加入いただけます
4、17歳満期もご用意しています
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1つ目の「戻り率が魅力的です」ですが、かんぽ生命の学資保険は、最短で子どもが12歳に到達する時に全額払い終わらせるという方法を取ることができます。他社の学資保険の場合、通常満期を迎える17歳(17年間)、18歳(18年館)まで毎月保険料を積み立てるのですが、かんぽ生命の学資保険では12歳(12年間)という短期間で積み立てを終わらせ、子どもが大学に進学するまでの期間、寝かせて運用させておくことで高い利率で学資金を受け取ることができます。短期間で積み立てを終わらせる分、同額を積み立てようと思った場合、17歳や18歳まで積み立てるよりも毎月の積立額は高くなりますが、毎月積み立てる余力があるのでしたら利率が高い方が良いので短期間で積み立てを終わらせることができるのは非常に魅力的です。
次に2つ目の「学資金のお受け取りを3パターンからお選びいただけます」ですが、子どもの学資金は大学進学に限ったことではありません。中学校進学や高校進学時にも入学費や授業料がかかるため、そのような場合でも学資金の一部が受け取れることは非常に嬉しいです。かんぽ生命の学資保険は、以下の3パターンの中からご自身の好きなタイプで学資金を受け取ることができます。
①大学入学時に一括で学資金を受け取るコース
②小・中・高・大学進学時にそれぞれ学資金を受け取るコース
③大学入学時+大学在学中に学資金を受け取るコース
以上の3パターンとなります。
それぞれ契約時の学資金の金額を同じにした場合、学資金の受け取り総額はほぼ同額です。学資金のすべてを一括で大学進学時に受け取るか、小学校・中学校・高校・大学進学時にそれぞれ分割して学資金を受け取るか、大学入学時・大学在学中にそれぞれ分割して学資金を受け取るかの違いとなります。しかし、それぞれのご家庭に合わせて選べるという事は魅力の1つと言えます。
続いて3つ目の「出産予定日の140日前からご加入いただけます」ですが、実際子どもが生まれると毎日育児に追われ、子どもの教育費のことを考えるのはどうしても後回しになりがちです。その結果、育児が落ち着いた頃に学資保険を検討しようとした場合、積立期間が短くなってしまうため、毎月の積立額が高額となってしまいます。出産前であれば時間的にも気持ち的にも余裕があるため、ゆっくり子どもの学資保険を検討し、加入することができます。
最後の「17歳満期もご用意しています」ですが、これは近年の大学入学の試験方法に合わせて作られたものです。今までの大学入学試験は、高校3年生の年明け1月にセンター試験が行われ、2月から3月にかけて私立大学、国立大学の2次試験を行うという事が主流でした。しかし近年では推薦入学が早期化されたり、新たにAO入試というものが採用され、高校3年の夏頃には大学入学が決まり、入学金を支払わなければいけないといったものが出てきています。子どもの誕生日が遅い方は18歳満期の学資保険では入学金を支払う時にまだ学資保険の満期を迎えていないといった場合も起こりえるため、17歳満期とすることで高校2年生の段階で満期を迎え、学資金を受け取ってどのような試験にも対応できるようになっています。17歳満期の方が18歳満期に比べて毎月の保険料は高くなってしまいますが、子どもの誕生月と大学入試の時期を照らしあわせ、17歳満期にされるか18歳満期にされるか選択すると良いでしょう。
ここでかんぽ生命の学資保険の特長を一覧にまとめましたのでおさらいしてみましょう。
学資保険を満期まで積み立て、満期時に受け取れるお金を「満期学資金」と呼びます。これに対し、積み立ての途中で学資保険を解約した場合に受け取れるお金を「解約返戻金」と呼びます。通常、学資保険は途中で解約するものではありませんが、やむを得ず解約する場合は解約返戻金を受け取ることができます。学資保険における解約返戻金は、基本的にはそれまで積み立てたお金と同額のお金を受け取ることができます。これは、学資保険には保険の対象の方が亡くなった場合に遺族に死亡保険金が支払われる死亡保障や病気やケガで入院した時に入院給付金が支払われる医療保障などの保障が付いていないため、単純に積み立て商品と位置づけられているからです。
これに対しかんぽ生命の学資保険の場合、学資保険の加入中は自動的に病気やケガで入院した場合に入院給付金が受け取れる医療保障が付いています。入院の対象は子どもとなっており、子どもが入院した場合にはこの入院給付金を受け取ることができます。しかし、この医療保障は無料で付帯されているのではなく、毎月積み立てる学資保険の積立額の一部を医療保障に充てているのです。そのため、かんぽ生命の学資保険を途中で解約し、解約返戻金を受け取ろうと思った場合、戻ってくる金額はそれまで積み立てた金額よりも少なくなってしまいます。これは、学資保険の加入期間中の子どもの医療保障の備えのために差し引かれた金額分が解約返戻金から引かれてしまうからなのです。また、満期学資金も同様に医療保障に充てた分が差し引かれて満期学資金を設定しています。そのため、他社の学資保険と比較した場合、場合によっては若干利率が低くなる可能性があります。かんぽ生命の学資保険を検討する際は、子どもが入院した場合の医療保障も備えておくべきかも踏まえて検討する必要がありますので注意が必要です。