効率的な教育費の積み立て方法とは?
子どもが生まれると必ずと言っていいほど考えなければいけないのは子どものの教育費です。家の購入や車の購入は、その時の預貯金の状況に応じて今年買うか来年買うかを選択する事ができますが、子どもの教育費に関しては、今年払えないから来年まで待ってもらうという事は出来ません。子どもの進学時期に合わせて計画的にお金を貯めていかなければいけないという特徴があります。
子どもの教育費を貯める方法として必ずやらなければいけない事は、「他の預貯金の口座とは別の口座で貯めること」です。他の預貯金と一緒の口座で貯めた場合、先ほどのように家を買う場合や車を買う場合、その預貯金の残高の中から買うかどうかを判断します。そうした場合、「これからの子どもの学費にどれだけかかるから、これだけは残しておこう」といった判断が難しくなってしまいます。ですので、子どもの進学資金の貯蓄は他の預貯金の口座とは別の口座で貯めることをお勧めします。
通常の預貯金の口座とは別の口座で貯める方法として今、人気なのは生命保険会社の学資保険を利用する方法です。学資保険は契約内容によって毎月・半年ごと・年1回銀行口座から引落しがかかり、引落し後の運用は生命保険会社で行います。解約すればお金を引き出すことは出来ますが、銀行口座と違って解約には手続きが必要なため、簡単に引き出すという事ができません。
また、学資保険の魅力の1つとして高い運用率で運用してくれる事にあります。銀行口座の場合、普通預金の金利は0.03%前後、定期預金でも金利は0.5%前後です。これでは、せっかく長年貯めていても金利として増えるお金は微々たるものです。これに対し、生命保険では返戻率という表示で110%前後の運用で積み立てたお金を運用してくれます。つまり、子どもが大学に進学する前の17年間で110%運用をした場合、300万円積み立てると30万円プラスになるので、合計330万円受け取れるということです。
今回はこの学資保険について紹介していきたいと思います。学資保険に入ろうと思ったのはいいものの、一体どれだけ学資保険で積み立てれば良いのか、公立・私立それぞれの場合はどうなのかについて見ていきたいと思います。
学資保険を検討するにあたり、まずはじめに知っておくべきことは、子どもの教育資金にどれだけお金がかかるかという事です。貯めなければいけない金額が分からなければ、一体どのような学資保険に入ればいいのか分かりません。学資保険は主に、子どもの大学進学資金の積み立てのために利用されます。まずは公立(国立)と私立の大学、また私立文系、私立理系に進学した場合、どれだけ大学の費用が変わってくるのか見てみましょう。
下の図をご覧ください。
[国立、私立文系、私立理系の大学にかかる費用]
これはあくまで全国平均でかかる費用ですが、国立大学に進学した場合と私立理系の大学に進学した場合とでは約300万円も大学進学費用が変わってきます。
国立大学に進学させようとした場合、子どもが生まれてから大学進学するまでの17年間で約321万円を貯めなければいけないという事ですから、利率がない所にお金を積み立てた場合、毎月の積立額は約15,735円という事になります。対して、私立理系に進学させようとした場合、同様に17年間で約608万円を貯めなければいけませんので、毎月の積立額は約29,803円という事になります。
しかし、国立大学への進学を目標にして毎月約15,000円を積み立てた場合、万が一子どもが私立文系や私立理系に進学した場合、進学資金が足りないという事になってしまいます。子どもがどのような進路に進んでも進学資金に困らないためには、私立理系を目標に、毎月約30,000円積み立てるのが安心です。もちろん、医学部や歯学部に進学するとなった場合はもっと進学資金はかかりますので、医学部、歯学部に進学させたいといった場合はこれ以上のお金を子どもが生まれた時から積み立てておく必要があります。
これまで、大学進学にかかる費用はどれくらいかかるのかについて見てきましたが、では実際に学資保険に加入されている方は平均でどれくらい積み立てをしているのでしょうか。保険のソクラテスが提供している「学資保険の教科書」で、学資保険にかける保険料の相場表を提供していますので、そちらを参考に見てみましょう
[学資保険にかける保険料の相場]
もっとも多いのは10,000円〜15,000円未満の方で、全体の45%と半分近くの方がこれくらいの金額を学資保険に積み立てています。先ほどご紹介した大学進学資金の国立大学への進学を目標とした場合の積立額とほぼ同額という事になります。もし子どもが私立文系や私立理系に進学しようとした場合、この学資保険だけでは足りませんので、その時の預貯金から残りを捻出するか、または奨学金を利用するという事になります。
子どもの教育費の積み立ては非常に大切ではありますが、教育費の積み立てのために日々の生活資金がままならなくなってしまっては本末転倒です。学資保険の検討には、第一に子どもの教育計画を立てること、第二に毎月の収支の中で無理のない範囲で保険料を設定すること、この2軸で検討する事が大切となります。
最後に、奨学金を利用した学生が社会問題となっている事について触れたいと思います。どういう事かと言いますと、大学進学のために子どもが高額の奨学金を借りたにも関わらず、就職では正社員になれなかった、正社員になったものの、給与が低くて奨学金の返済が出来ないという事が問題となっています。大学だけでなく、大学院までの費用を奨学金で借りた場合、総額1,000万円近くの負債を背負った状態で社会人になる事になります。
奨学金は民間のローンと違って金利は安く設定されているため、利息額はそこまで高額ではありませんが、そもそも奨学金で借りた金額が多すぎて、毎月の返済額が5万円、10万円もあるという方は決して珍しくありません。中には奨学金の返済ができず、何ヶ月も返済を滞納させてしまっているという方もいるそうです。せっかく勉強して大学に進学したにも関わらず、奨学金の返済が出来ず滞納し、社会的に汚点を作ってしまっては元も子もありません。しかし、これは子どもだけに問題があるかというとそうではないと思います。そもそもご両親が子どもを生んだ時、計画的に教育資金の貯蓄を行っていればこのような事態にはならなかったと思います。毎月30,000円が難しいという方でも、せめて毎月10,000円だけでも積み立てておけば、17年間で204万円になります。大学費用の半分は積み立てることが出来るのです。
子どもが大学に行きたいと言ったから大学費用をすべて子どもの奨学金に頼って、子どもが後で苦しい思いをしなくて済むよう、少しでも子どものためにお金を積み立ててあげて頂ければと思います。