万が一の時には死亡保障、病気で入院したら医療保障、そして子供が生まれたら大学入学に備えた学資保険…生命保険には「こういう場合に備えて」という目的で商品が設計、販売されているものです。
ところが、実際には日本中の人たち全員が「この商品は自分にぴったり」と思うような商品は販売されていません。それもそのはず、1億人の人たちが保険を求めるなら、1億通りの保険が設計、販売されなければならないのが筋、というもの。
ハンドメイドな保険、オリジナルな保険、ライフプランに合わせた保険…そういう言葉が氾濫していますが、実際にはあらかじめ出来上がった保険商品に「人生を合わせて」考慮して契約するしか方法はありません。その中でも、収入保障保険はまさに「商品に自分の万が一を当てはめる」というような商品といえます。
では「収入保障保険」とはなんでしょうか?結論からいえば、これは契約者が死亡、または保険会社が認めた高度障害状態になった場合、保険金(給付金)が毎月受取れる、という商品なのです。もちろん、保険期間は決まっています。ですから、その間にのみ決まった給付金が支払われるため、言い換えれば定期保険と同じ、掛け捨て型の保険なのです。
実は、収入保障保険と似ていて、混同される保険が2つあるのをご存知でしょうか?そのひとつが「所得補償保険」です。これは生命保険ではなく、損害保険の商品。それも1年更新の限定的な保険です。例えば、仕事中脳梗塞で倒れ、そのまま意識不明で数ヶ月入院した場合、復職までの間、給与の補填部分を給付金で受けることができます。
そしてもうひとつが「就業不能保険」です。これは生命保険の商品ですが、やはり会社が認める状態にならなければ『就業不能』とはなりません。それはガン、脳梗塞、急性心筋梗塞と保険会社が指定する要介護状態…などと決められています。ですから、足を骨折して就業できなくなったから、保険でお金が下りる、などということはまずあり得ません。
このように、働いている人が病気や怪我で勤務先を休み、有給休暇を使い切って無給になってしまったら、この保険に頼ろう…とするなら、収入保障保険ではないことがお分かりになるでしょう。保険では思った以上に重い病気や怪我の症状にならなければ、保障が下りないものです。ですから、収入保障、就業不能、所得保障などという言葉には、しっかり自分が必要かどうかを事前に確認するのが大事なのです。
収入保障保険は国内生保、外資生保を問わず、多く販売されています。上にも書いてありますが、収入保障保険は実は「定期保険」の一種。つまり、ある一定期間の死亡保障や高度障害保障を遺族に残すもので、保険金が毎月口座に振り込まれるものが一般的です。
これを俗に「年金型」と言いますが、年金は2ヶ月ごとに一度受け取れ、期間は一生涯です。これに対し、受け取れる期間が決まっていますから「定期型」=つまり定期保険であり、保険金受け取りは年金同様の分割型、というわけです。
収入保障保険を選ぶ際、大事なのは「保険金受取人」に都合のよい商品かどうか、という点です。例えば、毎月受け取る場合、保険金とは言えども「税金」がかかる場合があります。ところが、一括で受け取る場合は「無税」。ですから、こういうこともよく教えてもらわなければなりません。
例えば、AIG富士生命保険の「さいふにやさしい収入保障」は、保険金受取方法を変えることが可能です。メットライフ生命の「収入保障保険」の場合、三大疾病で所定の状態になったら、保険料が免除になる特典があります。アクサダイレクト生命「収入保障2」は、業界ではかなり保険料が安いことで知られています。 他にも、ソニー生命やプルデンシャル生命などにも、単体の収入保障保険に似た形の保険があります。
大事なことは、保険料が安いか高いかは、保険会社によって変わりますが、特約や特則などを付けなければ、どの会社もほとんど商品価格は変わらない、ということです。
大事なのは「保険料が免除になる状態が、できるだけ広い」商品を選ぶこと。そして、収入保障保険と一緒に「定期保険」を勧めるような保険担当者からは「加入しない」ことです。 収入保障保険は掛け捨てです。基本はたった一つです。それは、若いうちに死亡した場合は残りの死亡保障額が多くなり、保険終期に近づくにつれて、死亡保障額は少なくなる「低減型」であることです。これは、住宅ローンと同じ形です。5,000万円のローンを組んで、20年経った時点で、1,500万円が残っている場合、20年間で3,500万円支払ったことになります。
つまり、年々死亡保障額が少なくなる…それが収入保障額なのです。 こうしたわかりやすい例を考え、納得できる説明をしてくれる保険の専門家(FP)に相談しなければ、結果的に保険担当者の言いなりに契約することになりかねません。本当に必要なのか不要なのか、今の保険で賄えるのか…?収入保障保険はそれだけ、価値のある保険なのです。