HOME » 医療保険 » 医療保険の告知義務~告知のポイントとは?~
保険に加入するときに必要となる「告知」とは?
生命保険や医療保険に一度でも加入したことのある方は、契約手続をするときに「告知」を経験したことがあるのではないでしょうか。「告知」とは、過去から現在にかけて病気やケガにより、病院で診査や投薬、入院した経験があるかどうかを確認する、いわゆる「健康状態」と確認するための手続をさします。生命保険や医療保険に加入するときは必ずこの「告知」を行わなければならず、これを「告知義務」と言います。
生命保険の場合、保険商品が「死亡保険金」と呼ばれる、被保険者である保険の対象の方が亡くなったときにお金が受け取れる保障のため、この「告知」を行ったことによって、細かい制約条件が付く可能性はあまり多くありませんが、医療保険の場合、保険商品が「入院給付金・手術給付金」などの、病気やケガにより入院・手術を受けたときに給付金が受け取れる保障のため、契約手続のときに行う「告知」によって細かい制約条件が付いてしまう可能性が高いのです。
ここでは、医療保険の告知義務として、告知をした結果、どのような条件が付いてしまうのか、また告知により条件が緩和されるためにはどのようなポイントで告知をすれば良いのかについてご紹介します。
医療保険で告知をしたときに付いてしまう「条件」とは?
医療保険で告知をしたときにどのような条件が付いてしまうのか、それを知る前に、まず生命保険会社は告知によりどのような内容を聞くのかについてご紹介します。
生命保険会社の告知による質問内容は以下の内容です。
・直近2年以内に病気やケガで医師の診査・投薬・入院・手術を行ったか
・直近5年以内に継続して7日間以上、医師の検査・投薬・入院・手術・通院を行ったか
・今まで(もしくは現在)がんにかかったことがあるか(かかっているか)
・手、足、耳、言語、そしゃく機能に障害があるか
・(女性の方)現在妊娠しているか、または過去1年以内に妊娠、出産をしたか
これらの質問内容に対して「はい・いいえ」の2択で回答していき、「はい」に該当する箇所については、何の病気でどこの病院にかかり、どのような治療(投薬)を受けたか、治療期間はどれくらいの期間だったかを細かく記載する必要があります。
この細かく記載した内容を生命保険会社の医務審査部の方が見て、どのような条件を付けるべきかを判断します。
それでは、この内容により、どのような条件が付いてしまうのかをご紹介します。主な条件は以下の3点となります。
・保険料の値上げ
・加入できる保険金(給付金)の上限の設定・削減
・部位不担保
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
初めに「保険料の値上げ」ですが、本来生命保険や医療保険は「健康な方々がお金を出しあい、亡くなったり入院したときにお金を出しあう」という特性を持っています。そのため、過去または現在において病気やケガで治療を受けた方は通常の健康な方とは公平な条件で生命保険・医療保険に加入出来なくなってしまいます。その公平さを保つ方法として、保険料の値上げがあるのです。
保険料の値上げは通常、何も条件が付かなかった場合の保険料を100%とし、110%アップ、120%アップといったように、1割増、2割増で保険料を負担することになります。値上がりする割合の程度は、過去または現在の病気の内容、治療の程度によって、症状が重いほど保険料は多く値上げされます。
続いて、加入出来る保険金(給付金)の上限の設定・削減ですが、こちらも上記と同様に、健康な方との公平さを保つために、加入できる保険金額、入院給付金額に上限が設定され、その上限次第では、加入手続時の保険金・給付金が削減されてしまいます。
最後に部位不担保ついてご説明します。部位不担保という条件は医療保険のみに適用される条件なのですが、その内容は、過去または現在において患った病気による体の部位(胃潰瘍であれば「胃」や、肺炎であれば「肺」など)において、今後数年間の間、この体の部位による入院・手術・投薬をしたとしても、医療保険の給付の対象外とするという条件です。これは通常、数年間という期間で解消されますが、特に脳系・心臓系の病気などの場合、永久的にその部位による病気は対象外となってしまう可能性があるため、注意が必要です。
せっかく医療保険に加入しようと思っているのに、条件が付いて追加で保険料を支払わなければならなくなったり、部位不担保によって保険の対象外となることは出来る限り避けたいと思われると思います。症状によってはまったく条件がつかないようにする事は難しい場合がありますが、条件が緩和されるためのポイントについてご紹介します。
医療保険の告知のポイントは以下となります。
①生命保険会社の医務診査は「現在の症状」ではなく、「今後病状が重くなるリスク・併発しそうな病気は何か」という観点で判断する
こちらはよく例えられるものとして、「病院による診査」と「生命保険会社の診査」の比較が挙げられますが、病院による診査は、現在患っている病気を診断するもので、今後どのような症状になっていくか、また併発してどのような病気を患いそうかについては診断しません。対して生命保険会社の医務診査は、「将来起こるリスク」という観点で判断するため、今の症状ではなく、将来の健康状態を推測して判断します。この違いときちんと理解して告知をすることは非常に重要なのです。
②告知で細かい病状について記載する際は、通院の頻度、投薬の薬の名称・投薬量、現在医師にどのように診断されているかを細かく記載する
こちらは、①に付随するポイントなのですが、生命保険会社の医務診査は保険に加入する方とお会いすることもなく、告知書によって記載されている内容だけで病気の程度、治療具合、将来的なリスクを判断しなければいけません。一見元気そうに見える方で、過去に重い病気を患っていた方が告知書に病名だけを記載しただけでは、生命保険会社の医務診査は「不健康な方ではないのか」と推測してしまいます。そのような誤解・ギャップを生じさせないためにも、今現在も投薬・通院している方の場合は、どの程度の薬が処方されており、通院はただの検査通院なのか、治療のための通院なのかについて隠さず細かく記載した方が条件は緩和される場合が高くなります。
③5年近く前に患った病気であれば、告知する義務がなくなる時期まで待ってから加入する
こちらは、最初に記載した「告知」の内容を見て頂ければお分かりかと思います。聞かれるのはあくまで、「5年以内」の病気・ケガに対してのものであり、5年以上前に患った病気・ケガについては告知する必要がありません。以前の生命保険会社の告知は「自己申告型」であったため、幼少期に患った病気や数十年前に患った病気などについても申告される方もいましたが、現在の告知は「質問回答型」に変わっています。要するに、質問された内容にのみ回答すれば良いだけで、質問以外のことは申告する必要がないのです。
そのため、5年以上前に重い病気を患って入院・投薬・手術を受けた経験がある方でも、5年以内にその経験がなければ告知する必要がありませんので、もう少し待てば告知する必要がなくなるという方は、告知義務がなくなった後に加入すれば条件が付かなくなります。
このように、医療保険で告知をするときは「病気の程度」「将来的なリスク」「告知をしなければいけない期間」に注意して告知をすることがポイントとなります。