子供が生まれて家族が増え、目先のことだけでなく少し先のこと、将来のことを考えていく必要が出てきた頃。保育園、幼稚園を経て入学する小学校を機に、「学費」について考えることが増えてくると思います。自分の子供には、なるべく良い環境で過ごして欲しい。そう考える方は少なくないと思います。そのためにどのくらいの備えが必要なのかをあらかじめ知っておいた方が良いですね。
今回は公立・私立小学校について、それぞれの特徴や学費の差を解説していきます。
まず、公立小学校のメリットとして挙げられるのは以下の3点です。
・近所の子供達と一緒に通える
・学校が近い
・学費が抑えられる
逆に、公立小学校のデメリットとして挙げられるのは、以下の3点。
・学校に関する情報が限定的で、近所の先輩からなどしかない
・学区制のところは学校を選べない
・学習内容が教育改革のカリキュラムに影響されやすい
学校を選ぶ上での選択肢が少ない、情報が少ないため学校環境が事前にわかりにくいのが懸念点のようです。
次に、私立小学校について。メリットとして挙げられるのは以下の3点です。
・学校に関する公開情報や口コミにより、雰囲気を事前に掴みやすい
・学校設備や専門指導の教員による指導体制が充実している
・独自の学習内容、カリキュラムが確立している
「お受験」を経て進学する私立小学校は、公立小学校とは反対に情報が広く公開されています。設備や学習内容が優れているのも、「せっかく進学させるなら」と考える上でのポイントになるようです。
そして、私立小学校のデメリットとして挙げられるのは、以下の3点。
・学費が高い
・場所によっては通学時間がかかる
・受験をしなければならない
学習環境が充実しているだけあって、費用がかさむのは私立小学校の痛いところ。また通いにくい遠方になる場合になる可能性もあります。
どちらも一長一短あり、異なる特徴を持っています。
公立小学校に関しては、自治体によって学校選択の条件が多少異なります。また私立に関しても、自宅から通える範囲にはどのような学校があるのか、地域によって様々です。自治体の情報と、近隣小学校の情報を調べてみると良いでしょう。
子供にとって一番良い環境を選んであげたいという思いはあるかもしれませんが、ご両親の収入面を考慮して、本末転倒にならないよう、生活に無理のない範囲で検討したほうがベターです。
公立小学校と私立小学校、それぞれの学費はどのくらいなのでしょうか?
<公立小学校と私立小学校、年間の学習総額費>
区分 | 公立 | 私立 |
学習費総額 | 321,708円 | 1,535,789円 |
公立を1とした時の比率 | 1 | 4.8 |
うち学校教育費 | 59,228円 | 885,639円 |
構成比 | 18.40% | 57.70% |
公立を1とした時の比率 | 1 | 15 |
うち学校給食費 | 43,176円 | 46,089円 |
構成比 | 13.40% | 3% |
公立を1とした時の比率 | 1 | 1.1 |
うち学校外活動費 | 219,304円 | 604,061円 |
構成比 | 68.20% | 39.30% |
公立を1とした時の比率 | 1 | 2.8 |
比べてみるとその差は歴然で、私立小学校の学費は公立小学校の約4.8倍必要のようです。
もちろん、学校を選ぶ上でのポイントとして学費が全てではありませんが、ご家庭の生活にも大きく関わるポイントであることは確か。公立と私立という進路の違いによって、費用に最も差が出るのがこの小学校の時期で、6年間の総額に換算すると実に約700万円もの差になります。私立小学校への進学を検討される方は、将来の収入見込やマネープランをしっかりと計画しておきましょう。公立小学校への進学を検討される方は、この6年間が最も学費のかからない時期となりますので、将来に備えしっかりと貯蓄していくことをおすすめいたします。
補足ですが、上記の表に載っている金額は、6年間の学習総額を6で割った平均金額です。入学したばかりの時期は、ランドセルや学習机などの備品を買い揃える必要がありますので、2年生以降よりも多少出費が多いことに注意しなければなりません。
公立小学校と私立小学校で学費に大きく差があるのは分かりましたが、同じ公立内・私立内でも、地域によって学費に差はあるのでしょうか?まずは公立小学校について、公益財団法人「生命保険文化センター」の調査結果を元に地域ごとの違いを見ていきます。
<公立小学生にかかる教育費総額(年間)>※2016年3月時点
平均 | 人口規模別 | ||||
5万人未満 | 5~15万人未満 | 15万人以上 | 指定都市・ 特別区 |
||
学習費総額 | 321,708円 | 247,543円 | 288,016円 | 315,726円 | 407,152円 |
人口規模別に学費をみると、人口「5万人未満」が247,543円なのに対し、「指定都市・特別区」が407,152円と約1.6倍の差があるようです。
表に記載されている指定都市とは、大阪市、千葉市、さいたま市、名古屋市など、政令で指定された人口50万人以上の20都市のことを指します(該当地域は2016年10月時点)。また特別区とは、東京23区のこと。規模の大きな都市は、学費が高い傾向にあるようですね。
では、私立小学校はどうでしょうか。私立小学校の学費は、学校パンフレットやホームページ等で情報公開されています。しかし学校により表記の方法はバラバラで、設備費、給食費等の項目ごとに細かく記載されているところもあれば、「その他の費用がかかることもあります」という形でまとめられているところもあります。単純な比較は難しいので、授業料に絞った形で比較してみました。
<東京都私立小学校の学費 一例(年額)>
慶應義塾幼稚舎 | 940,000円 |
玉川学園小学部 | 785,000円 |
青山学院初等部 | 750,000円 |
学習院初等科 | 720,000円 |
成蹊小学校 | 710,000円 |
<大阪市私立小学校の学費 一例(年額)>
追手門学院小学校 | 759,000円 |
帝塚山学院小学校 | 558,000円 |
大阪信愛女学院小学校 | 516,000円 |
城星学園小学校 | 468,000円 |
城南学園小学校 | 380,000円 |
進学する学校によって千差万別ではありますが、大阪市と比べると、東京都の方が学費が高い傾向にあるようです。
公立小学校と私立小学校では、設備や教育体制などの違いにより学費に大きく差がついています。また同じ私立小学校でも、学校によってかかる費用はバラバラのようです。進学する学校を選ぶ際は、ご家庭の収入状況や将来のプランを考慮した無理のない選択をしましょう。