HOME » 保険会社 » ネット保険の落とし穴。契約する前に知っておきたい事項
インターネットでの生命保険販売、といえば「ライフネット」といわれるほど有名なのがライフネット生命保険。テレビコマーシャルでは、盛んに従来からある保険会社との「掛け金比較」を宣伝しては、顧客を増やし続けて来ました。2008年(平成20年)から始まった事業は20万件もの契約になりましたが、ライフネット生命保険の社員数はわずか88名(2013年度)。生命保険会社としては、非常に少ない社員で業務を行っているのです。
ソルベンシーマージンは2,000以上。これは何か、というと簡単にいえば「1年間に契約している顧客が全て保険事故(死亡)に巻き込まれ、保険金を支払う状態あっても、20回分は支払い余力がある」ということ。もちろん、死亡率という観点から考えて20代や30代の人の場合、1万人に数人しか死亡する可能性はありませんので、若い加入者ばかりの場合、死亡保険金を支払う可能性は低くなるのです。
商品自体は「掛け捨て型」の商品のみ。同じネット保険では「アクサダイレクト生命」が貯蓄もできる終身保険を出していることを考えると、加入できる生命保険の種類は非常に少ない、といってもよいでしょう。
ネット生命も従来の対面販売の生命保険も、金融庁から認可された保険商品を扱い、保険業法という法律に守られた範囲内で行っているわけですから、どちらも問題は全くありません。ですが、ネット生命保険の場合、対面式にはない「盲点」もありますので、よく確認する必要があります。
ライフネット生命、アクサダイレクト生命も掛け捨て型(定期保険)の死亡保険を扱っています。アクサダイレクト生命は終身保険を1種類扱っていますが、その他は定期保険です。ですから、生命保険はあくまでも「掛け捨て型」に割り切ることが重要です。
この場合の注意点ですが、インフレ時には現在の10万円が20年後には7、8万円にしか値しないこともあり、いざという時に保障が足りなかった…という場合も発生します。また、定期保険は10年型と年齢型がありますが、65歳で会社が定年と思っていたところ、70歳定年に延長されてしまった、5年間の保障がなくて、その間の生命保険がなかった…というケースも考えられるのです。
ネット生命の良さは「掛け金が安い」、現在の所得を考えて最低限の保障を掛け捨て型に割り切って加入できる点。ですが、時代の変化に対応できる保険になっているかは疑問。だからこそ、保険の形が変化できるもの、掛け金や保険金を柔軟に変えられることは、従来の対面式でなければ不可能です。ネット生命への加入は「とりあえず加入」という方が選ぶべき、というものなのです。
インターネットでの保険加入…その割合は年々増加していますが、実は主流は「自動車保険」と言われています。確かに、ネット生保と呼ばれる会社が ライフネット生命 などの一部に限られているのもお分かりでしょう。
生命保険会社は、何千人、何万人といった従業員を雇用し、それ自体が大変な産業と言えます。それは、対人販売が基本となっていることと、複雑な商品を扱う会社であればあるほど、顧客に対して丁寧な説明が求められるからなのです。 これに対して、商品を限定したライフネット生命は、革新的な生保会社と言えるでしょう。
では、損保会社はどうでしょうか?上記に述べたように、自動車保険と言えばテレビCMやネット広告、ラジオCMで流れない日はないほど、ネット損保が訴求活動を行っています。 では、自動車保険を対面販売で加入するのと、ネット加入するのとでは、何が違うのでしょうか?
ここで、知っておきたいのは、もともと自動車保険は「代理店販売」という方法で保険を販売していた…という事実です。もし「昔からお世話になっている保険屋さん」がいて、その人から親子代々自動車保険に加入している…という方がいるとしましょう。この保険屋さんはもちろん保険のプロではありますが、彼はあくまでも「代理店」の人間です。
つまり、販売代理店とは扱う顧客数が多い場合や、会社(法人)などを扱う場合と、個人の顧客を扱う場合で「ランク付け」があり、確かに保険事故での扱いでも多少「甘い、緩い」査定があった時代は存在しました。が、現在ではそれはありえません。保険代理店はあくまでも保険を一本売ってその手数料で経営する業務であり、自動車保険のような毎年更新、あるいは2年3年おきに必ず更新手続きをして、事故の場合は直接損保会社へ顧客から連絡してもらうのが「一般的」なのです。
自動車保険の場合、ネット加入が伸びているのは「保険料が安い」ことに加え「ネット加入でも、事故処理に問題がない」という一定評価が高まっていることから、と言えます。また、ネット加入の場合、ネット割引が受けられるというメリットを享受できることが挙げられるのです。
ただ、自動車事故では「相手」がいる場合に、やはり面倒なことが頻発します。自分は加入していて、相手は無保険だった、そしてその相手に貰い事故された…というケースでは、自分の自動車保険では何も対応できないどころか、担当者も動くに動けない状況となってしまいます。
自動車保険の事故とは、対人の場合は保険会社と相手。自動車同士の場合は、加入している自動車保険会社同士の話し合いで解決の糸口を付けます。ですが、どうしても解決がつかない場合には、裁判というケースもあります。その際、自分の自動車保険の担当者は裁判費用を出してくれるわけでもなく、なんの援護射撃もないのです。
ですから、弁護士費用特約 などの特約を付ける自動車保険が最近急増していますが、その必要性はネットではなかなか理解できない場合が多くあります。つまり、自動車事故や自動車を使った犯罪行為に対し、やはり一度は対人販売のメリットを生かしておいた方が、万が一の時は役にたつ、ということです。ネットでの自動車保険は「安いだけ」で選ばす、プロの保険マンにこそ、加入の仕方を聞いておくべきでしょう。