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「つづけトク終身」の特徴と金融商品としての観点による運用効果とそのメリットとデメリットをFPが分析!

「つづけトク終身」の特徴と金融商品としての観点による運用効果とそのメリットとデメリットをFPが分析!
「つづけトク終身」の分析レポートをお伝えします。 引受保険会社は「メットライフ生命」です。テレビCMでもよく見かける保険会社ですから、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 保険種類は「終身保険」です。一生涯の死亡・高度障害を保障する「保険」としての機能はもちろんですが、メットライフ生命のパンフレットでは「資産形成」の機能も紹介しています。ただし、低金利下にあるこのご時世においてメットライフ生命が契約時に約束する現在の積立利率(予定利率)の0.6%では「資産形成」としての機能は極めて魅力薄といえます。 詳細な分析レポートは「つづけトク終身」の商品スペックを解析し余すとこなくお伝えします。

1.「つづけトク終身」の特徴

契約年齢と性別 0歳(生後3ヵ月以上)~80歳の男女
保険期間 終身

死亡・高度障害保険金額と支払事由
(保険金額)200万円〜1,000万円の範囲で設定
(支払事由)死亡事故、またはメットライフ生命所定の高度障害状態に該当したときに「基本保険金額」が支払われます。ただし、支払事由が発生した日の属する月の前月末日の積立金額、または支払事由が発生した日の積立金額が基本保険金額*1を上回る場合には、次のいずれか大きい金額となります。
① 前月末日積立金額+(前月末日積立金額-基本保険金額)*1%相当額
② 当該日積立金額+(当該日積立金額-基本保険金額)*1%相当額
*1積立利率は10年ごとに更改されるため契約時の保険金額(基本保険金額)を上回る場合があります。


保険料払込み期間と低解約返戻金期間
(保険料払込み期間)60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、90歳で選択可能
(低解約返戻金期間)保険料払込み期間中の解約返戻金の水準を低く設定していることにより保険料が低く抑えられる反面、解約返戻金も少なくなるため注意が必要です。
保険料、保険金・解約返戻金(=積立金)の適用通貨
全て円建での適用


積立利率(予定利率)
2017年2月現在の積立利率(予定利率)は年0.6%となっており、10年間はこの積立利率(予定利率)が適用されます。契約後10年ごとに積立利率(予定利率)が更改され、年0.6%は最低保証されます。


特則(保険料の払込み免除特則)
保険料払込み期間中に次の三大疾病に該当したとき、以後の保険料の払込みが免除された上で、保障が継続します。
① 悪性新生物(がん)
責任開始時(第1回保険料の領収または告知のいずれか遅い時)の属する日からその日を含めて91日目以後に悪性新生物に罹患したと医師によって診断確定されたとき。
※ただし上皮内心生物(上皮内がん)は対象となりません。
② 心疾患
責任開始時以後に発病した心疾患の治療を目的として、継続20日以上入院したとき。
③ 脳血管疾患
責任開始時以後に発病した脳血管疾患の治療を目的として、継続20日以上入院したとき。


その他契約者の権利行使
① 保険料の払込みが困難となったとき
保険料の払込みが困難になったからといって、保険契約を解約したくない場合、契約者の権利行使が約束されています。
(払済終身保険への変更)保険料の払込みを中止して、払済終身保険(低解約返戻金型)に変更することができます。基本保険金額はほとんどの場合で減少しますが、保険期間(終身)は変わりません。
(延長定期保険への変更)保険料の払込みを中止して、平準定期保険に変更することができます。保険金額は変更前の保険契約の基本保険金額となりますが、保険期間は定期となります。(終身ではなくなります)
② 解約と解約返戻金
契約を保険期間の途中で解約・減額したとき、解約返戻金が受け取れます。ただし、低解約返戻金期間中の解約返戻金額は積立金をもとに計算した金額に所定の低解約返戻金割合を乗じた金額となるため低くなります。

2.「つづけトク終身」の運用効果検証

「つづけトク終身」に加入した場合の運用効果は?
「つづけトク終身」に加入した場合の運用効果を実際に検証してみましょう。

【条件】
(性別) 男性
(年齢) 30歳
(基本保険金額) 1,000万円
(保険料払込み期間) 60歳
(特則) 保険料の払込み免除特則付き
(積立利率(予定利率)) 年0.6%
【運用効果】
(保険料(月額)) 31,320円
(保険料(累計)) 11,275,200円
(60歳時解約返戻金額) 914万円(返戻率81.0%)


積立利率(予定利率)年0.6%の場合、保険料(累計)が基本保険金額を上回ることがわかります。これは1,000万円の基本保険金額を購入するのに約1,128万円支払うことであり、「損」な買い物です。また、60歳時の解約返戻金額も914万円で214万円の「損失」です。このことから運用効果は全くないといえます。さて、「つづけトク終身」は契約から10年ごとに積立利率(予定利率)の更改が行われます。仮に契約から10年後(40歳)のとき次の積立利率(予定利率)に更改され、以後、その積立利率(予定利率)で60歳まで推移したときの運用効果を検証してみます。

60歳まで推移したときの運用効果(1)
(積立利率(予定利率))年1.6%で推移した場合
(保険料(累計)) 11,275,200円
(60歳時保険金額) 1,060.2万円
(60歳時解約返戻金額) 1,059.6万円(返戻率93.9%)

積立利率(予定利率)年1.6%においても保険料(累計)が保険金額を上回っています。また、解約返戻金額も1,059.6万円で68万円の「損失」です。保険金額が保険料(累計)を上回る年齢は65歳時で1,139.6万円この時点でようやく保険金額が保険料(累計)を上回ります。90歳時では1,638.6万円まで運用効果が期待できます。また、解約返戻金額も65歳時で1,138.2万円(返戻率100.9%)となり、この時点でようやく「運用益」が期待できます。90歳時では1,632.2万円(返戻率144.8%)まで運用効果が期待できます。

60歳まで推移したときの運用効果(2)
(積立利率(予定利率))年2.6%で推移した場合
(保険料(累計)) 11,275,200円
(60歳時保険金額) 1,230.4万円
(60歳時解約返戻金額) 1,228.1万円(返戻率108.9%)

積立利率(予定利率)年2.6%においてようやく保険金額が保険料(累計)を上回り、90歳時には2,569.6万円の保険金額が確保できます。また、解約返戻金額も1,228.1万円で約101万円の「運用益」が期待できます。90歳時では2,554.0万円(返戻率226.5%)まで運用効果が期待できます。
この検証から積立利率(予定利率)年0.6%では保険商品として全く魅力がないものといえます。検証のシミュレーションでは契約から10年後常に年1.6%または、年2.6%で推移した場合を想定していますが、現状における日本の金融政策において金融緩和政策(低金利誘導(イールドカーブコントロール))が今後も続く以上、検証のシミュレーションで想定した積立利率(予定利率)に達するには予想するに難しく、やはり円建の終身保険商品は現状において積極的にオススメできるものではありません。

3.「つづけトク終身」のメリットとデメリット

「つづけトク終身」の特徴と運用効果検証からメリットとデメリットを導き出したいと思います。

メリット
低解約返戻金期間があることで、毎月の保険料を抑えることができる。(コストの逓減)
・三大疾病に該当したとき、以後の保険料の払込みが免除されるため、疾病による保険契約が継続できないリスクを回避できる。
・積立利率(予定利率)が10年ごとに更改されるため、契約時と比較した運用効果が期待できる。また、最低積立利率(予定利率)が年0.6%と最低保証があるため、契約時よりも運用効果が悪化するリスクがない。
デメリット
契約時の積立利率(予定利率)が年0.6%とこれまでにない異常なまでの低水準であるため、運用効果が全く期待できない。また、今後日本の社会的な諸背景を鑑みてもこれまでよりも高い積立利率(予定利率)に達することが難しいと予想される。
・低解約返戻金期間があることで毎月の保険料を抑えることができる反面、低解約返戻金期間中に解約した場合の解約返戻金額も低く抑えられるペナルティがある。(極論を言えば、保険会社だけが儲かる仕組み)
4.「つづけトク終身」のまとめ

円建の運用により為替リスクのない「安心感」を求め、また10年ごとに更改される利率変動型に魅力を感じるのなら「つづけトク終身」の契約をオススメしない理由はありません。 ただし、リスクを取らないことがリスクであることもご認識いただければと思います。

・インフレに対するリスク(「つづけトク終身」は利率変動型だが10年ごとの更改)
・為替変動(円安)に対するリスク

「つづけトク終身」というペットネーム(保険商品名)ではありますが、2017年2月時点において「つづけトク」メリットはあまりないということが一(いち)FPとしての意見です。

円建の運用により為替リスクのない「安心感」を求め、また10年ごとに更改される利率変動型に魅力を感じるのなら「つづけトク終身」の契約をオススメしない理由はありません。契約時よりも運用効果が悪化するリスクがありません。契約時の積立利率(予定利率)が年0.6%とこれまでにない異常なまでの低水準であるため、運用効果が全く期待できない。また、今後日本の社会的な諸背景を鑑みてもこれまでよりも高い積立利率(予定利率)に達することが難しいと予想されます。

 

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